コミュニティを問いなおす ─つながり・都市・日本社会の未来

広井 良典

「ポスト成長時代」の
中心テーマ!

高度成長を支えた古い共同体が崩れ、個人の社会的孤立が深刻化する日本。人々の「つながり」をいかに築き直すかが最大の課題だ。幸福な生の基盤を根っこから問う。

コミュニティを問いなおす ─つながり・都市・日本社会の未来
  • シリーズ:ちくま新書
  • 1,012円(税込)
  • Cコード:0236
  • 整理番号:800
  • 刊行日: 2009/08/05
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:新書判
  • ページ数:304
  • ISBN:978-4-480-06501-8
  • JANコード:9784480065018
広井 良典
広井 良典

ヒロイ ヨシノリ

広井 良典(ひろい・よしのり):1961年生まれ。京都大学人と社会の未来研究院教授。専攻は公共政策、科学哲学。環境・福祉・経済が調和した「定常型社会=持続可能な福祉社会」を一貫して提唱。社会保障、医療、環境、都市・地域等に関する政策研究から、ケア、死生観、時間、コミュニティ等の主題をめぐる哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。著書『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、2009年)で大佛次郎論壇賞受賞。『日本の社会保障』(岩波新書、1999年)でエコノミスト賞、『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社、2019年)で不動産協会賞受賞。他に『ケアを問いなおす』(ちくま新書)、『ポスト資本主義』(岩波新書)、『科学と資本主義の未来』(東洋経済新報社)など著書多数。

この本の内容

戦後の日本社会で人々は、会社や家族という「共同体」を築き、生活の基盤としてきた。だが、そうした「関係性」のあり方を可能にした経済成長の時代が終わるとともに、個人の社会的孤立は深刻化している。「個人」がしっかりと独立しつつ、いかにして新たなコミュニティを創造するか―この問いの探究こそが、わが国の未来そして地球社会の今後を展望するうえでの中心的課題となろう。本書は、都市、グローバル化、社会保障、地域再生、ケア、科学、公共政策などの多様な観点から、新たな「つながり」の形を掘り下げる大胆な試みである。

この本の目次

コミュニティへの問い
第1部 視座(都市・城壁・市民―都市とコミュニティ
コミュニティの中心―空間とコミュニティ
ローカルからの出発―グローバル化とコミュニティ)
第2部 社会システム(都市計画と福祉国家―土地/公共性とコミュニティ
ストックをめぐる社会保障―資本主義/社会主義とコミュニティ)
第3部 原理(ケアとしての科学―科学とコミュニティ
独我論を超えて)
地球倫理の可能性―コミュニティと現代

読者の感想

2011.5.16 樋口淳一郎

アソシエーショナル・コミュニティーの発想と共通すると考えますが、東北復興に関しての発想です。

公共事業が無駄と言われる理由は、乗数効果がないことに尽きる。ところが、地域限定で公共事業を集中的に実施すれば、広井良典提唱の「社会保障型公共事業」が、今回は東北復興を目的として成立する。

地域限定ではなかったために、乗数効果がなかったならば、地域限定して、公共事業の乗数を成立させる。

乗数は乗数を生じ、不可能に一見思われる東北復興は実現する。プロセスの課題が最も肝心と言えます。

広井良典提唱するところの「社会保障型公共事業」の概念を「地域限定」して実施すること、地域振興券に類似した通貨を発行すること、これらはアソシエーショナル・コミュニティの発想と共通する発想であると考えます。

2010.1.09 斎藤次男

社会学では、コミュニテーからアソシエーションへという流れで捉えますが、逆にアソシエーショナル・コミュニテーという考えでしか、未来社会の理論構築は出来ません。広井さんならこのことは、直ぐ理解して頂けるでしょう。もう一歩進めてください。

2009.12.27 樋口淳一郎

「日本の課題」

1.少子高齢化
2.赤字国債による財政運営

 以上、二項目です。
 少子高齢化については誰の不作為でもないが、これは労働力が減少の一途をたどることを意味します。
 にもかかわらず、赤字の累積する国債を発行し続けることは、返済見込みのないまま借金を繰り返す家計(あるいは個人)と同様です。
 昔であれば禁治産制度が適用される。
 今は成年後見制度の適用が考えられる。
 そういう財政状況である。

 以上の国家的課題を抱える現在、「社会保障としての公共事業」をどう考えるか。広井先生によって公共事業の新しい解釈が提示されました。現在、政府は公共事業を削減する方針です。

 「コンクリートから人へ」。

 これには何の異論もないところです。しかし、よく考えると公共事業で潤うとされる労働者は、教育履歴に関しては底辺にある人たちです。格差社会の底辺に位置する、公共事業の削減後に、新しい職業・職場などみつからない人たちです。
 ここに、「社会保障としての公共事業」の著しい意味・意義が確実に存在する。社会保障としての公共事業という疑念理解が浸透すればよいと考えます。
 とはいいながら、概念はわかるが、実態としての公共事業には賛成できない意見が大半でしょう。実はわたくしにしてもその通りです。
 けれども目前に貧困はある。
 日本の国力は衰退する一方である。
 手を拱いているわけにいかないけれど、個人的になにかできる課題ではない。
 以上、改めてご著作拝読させていただき考えた次第です。
 
 よいお年をお迎えくださいますことを願っております。

 
 

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