ギリシア哲学入門

岩田 靖夫

「自由、平等、正義」
そして「救い」

「いかに生きるべきか」という問題は一個人の幸福から「正義」への問いとなり、共同体=国家像の検討へつながる。ギリシア哲学を通してこの根源的なテーマに迫る。

ギリシア哲学入門
  • シリーズ:ちくま新書
  • 990円(税込)
  • Cコード:0210
  • 整理番号:901
  • 刊行日: 2011/04/05
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:新書判
  • ページ数:320
  • ISBN:978-4-480-06604-6
  • JANコード:9784480066046
岩田 靖夫
岩田 靖夫

イワタ ヤスオ

1932年生れ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。東北大学教授、聖心女子大学教授、仙台白百合女子大学教授を経て、現在は東北大学名誉教授。主な著書に、『アリストテレスの倫理思想』『神の痕跡』『神なき時代の神』『ヨーロッパ思想入門』(いずれも岩波書店)などのほか、『よく生きる』『ギリシア哲学入門』(いずれも、ちくま新書)がある。

この本の内容

幸福は二つの次元から成立する。一つは、生きるための基本的物財の確保、言論、集会、行動その他の自由、そして、諸権利の平等の実現である。これを可能にしうる社会構造がデモクラシーであり、それは古代ギリシア人の創造に始まり、現代においても、歴史を動かしている起動力である。他は、心の安らぎであり、それは、偶然と運命に翻弄される人間が、存在の根源に帰ることにより、達せられる。現代が直面している問題を、ギリシア哲学が切り開いた視野から考える。

この本の目次

第1章 哲学のはじめ―人はいかに生きるべきか
第2章 ポリス的生の成立とその限界―自己実現としての幸福とその「かなた」
第3章 精神革命としてのソクラテス哲学―反駁的対話と無知の知
第4章 プラトンの『国家』における正義―哲人王と平民
第5章 アリストテレス政治思想の現代的意義―デモクラシー成立の基礎
第6章 人はなぜ戦争をするか―「世界平和実現」への理念と方途
第7章 根源への還帰―仏教とキリスト教における霊性

読者の感想

2015.2.03 中村義隆

 ギリシア哲学をちょっとかじってみたらなんとなくかっこいいだろう、という軽い気持ちで『ギリシア哲学入門』という「入門書」を読んでみた。
 そう思って読むと、とんでもないことになる。新書としては厚い300ページを超える本で、内容も難解である。いや、「難解」などというと敬遠する人がいるかもしれないので、「読みごたえがある高度な内容」と訂正しよう。この本の間違いは、入門とは言えないのに「入門」という題がついていることだ。


 そもそも著者の岩田氏には、2003年に岩波ジュニア新書から『ヨーロッパ思想入門』という、ジュニア新書でなく岩波新書だったとしても高度な内容の本を出した前科がある。そのことから当然この本の水準も予想しておくべきだった。
 言い方を変えれば値段は新書、中身は単行本、分量はその中間、といえよう。そんなすぐれた本を書く岩田氏が亡くなってしまった。残念だ。

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