医療者が語る答えなき世界 ─「いのちの守り人」の人類学
医療現場にはお堅いイメージがある。しかし実際はあいまいで豊かな世界が広がっている。フィールドワークによって明らかにされる医療者の胸の内を見てみよう。
私たちは病院に、答えを得るために足を運ぶ。心身の不調の原因が明らかになり、それを取り去るすべが見つかることを期待する。しかし実際の医療現場は、私たちが思う以上のあいまいさに満ちており、期待した答えが得られない場合も多い。そんな時私たちは、医療者に失望するが、それは医療者も同様に悩み、考えるときでもある。本書は、医療者のそんな側面を、本人たちへのインタビューをもとに紹介する。病気になったとき、私たちは医療者とともにいかに歩むことができるのか。かれらの語りを通じて考えてほしい。
第1部 肩越しの視点から(気付き―ナタデココとスカートのゴムについて
高齢者と身体拘束―看護師の心もきしむ)
第2部 科学が明らかにできないもの(手術と呪術―きれいな人と汚れた人
新薬―それを前に臨床医が考えること
効く薬とは何か?―漢方と科学の切れない関係)
第3部 傍らにいるということ(いのちの守り人―医療者の仕事の本質
死守―頑固爺はパンを焼く
共鳴―旅する言語聴覚士)
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