女帝の古代王権史
古代天皇の継承は双系的なものだった。卑弥呼、推古、持統に焦点を当てて古代王権史を一望。男系万世一系という天皇像を書き換える。
卑弥呼、推古、持統…、古代の女性統治者/女帝はどのような存在だったのか。かつては「中つぎ」に過ぎないと考えられていたが、この四半世紀に研究が大きく進み、皇位継承は女系と男系の双方を含む「双系」的にものだったことがわかった。七世紀まで、天皇には女系の要素も組み込まれていたのだ。古代王権史の流れを一望し、日本人の女帝像、ひいては男系の万世一系という天皇像を完全に書き換える、第一人者による決定版。
古代双系社会の中で女帝を考える
1 選ばれる王たち(卑弥呼から倭五王へ
世襲王権の成立)
2 王権の自律化をめざして(推古―王族長老女性の即位
皇極=斉明―「皇祖」観の形成
持統―律令国家の君主へ)
3 父系社会への傾斜(元明・元正―天皇と太上天皇の“共治”
孝謙=称徳―古代最後の女帝)
国母と摂関の時代へ向けて
2021.5.15 NK
古代日本における女性の活躍・機能・作用について急発展する考古学の最新の成果を取り込んだ内容がありがたい。
とかく単語の洪水で溺れそうになる歴史本だが単語のつながりを丁寧に示しているので読みやすいこと同種の出版物の中で白眉を成す。
とりわけ欽明~推古間の時代相から称徳に至る女性天皇のはたらきを分かりやすく解説する内容は古代史・ヤマト王権史のファンにとってうれしい。
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