矢島新
( やじま・あらた )1960年、長野県生まれ。跡見学園女子大学教授。専攻は日本美術史。東京大学大学院博士課程中途退学(辻惟雄氏に師事)。渋谷区立松濤美術館学芸員を経て現職。近世の宗教美術という、過去の美術史であまり論じられてこなかった領域を早くから開拓してきた。著書に『かわいい禅画』(東京美術)、『日本の素朴絵』(パイインターナショナル)、『近世宗教美術の世界』(国書刊行会)、『ゆるカワ日本美術史〈ヴィジュアル版〉』(祥伝社)など。
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西欧美術や中国美術においては、権力者のための威圧的なファインアートが主流として君臨してきた。それらの国々と海峡を隔てる日本列島は、常に文明の周辺に位置していた。流動性がさほど強くなかった日本の支配者にとって、権威を民衆に見せつける必要はあまりなかったようだ。見る者を威圧する造形よりも、例えば鳥獣戯画のような、見る者を楽しませる造形が発達したのである。「真実」を追求するファインアートに対置すべき、日本美術の「美しさ」の追求がある。そして、「素朴さ」「デザイン性」「文字との融合」など、日本美術ならではのオリジナリティを本書では縦横無尽に読み解いていく。世界の周辺文化のトップランナーとしての日本美術の唯一無二性を称賛し分析する一冊。
第1章 入ってきたもの・出ていったもの
第2章 デザインへの傾斜
第3章 そこにあるのは「美」か、「真理」か
第4章 教養があってこそ味わえる
第5章 文字と絵の幸福なコラボレーション
第6章 素朴を愛する
第7章 わびの革命
第8章 庶民ファーストなアート
第9章 多様なスタイルの競演
第10章 周辺のオリジナリティ
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