枕草子 下
『枕草子』の名文は、散文のもつ自由な表現を全開させ、優雅で辛辣な世界の扉を開いた。随筆文学屈指の名品は、また成熟した文明批評の顔をもつ。
冴えわたる批評精神。優雅で辛辣で洗練された洞察は、また普遍的な文明批評の顔をもつ。女性だからこそ、男性だからこそ、文学として味わえる現代語訳を付す。下巻は、第一二九段「無徳なる物」から第三二五段「物暗う成りて」までを収録。
無徳なる物
修法は
はしたなき物
関白殿の、黒戸より
九月ばかり、夜一夜
七日の若菜を
二月、官の司に
頭の弁の御許より
何どて、官
故殿の御為に〔ほか〕
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