ありえないことが現実になるとき ─賢明な破局論にむけて
なぜ最悪の事態を想定せず、大惨事は繰り返すのか。経済か予防かの不毛な対立はいかに退けられるか。認識の根源を問い、抜本的転換を迫る警世の書。
なぜ私たちは最悪の事態に備えることができず、大惨事が繰り返されてしまうのか。あるいは、たとえば「経済か予防か」といった不毛な対立をしりぞけることはいかにして可能なのか。現代世界において破局的な出来事は、「想定外」のものとして思考の埒外に置かれるか、計量可能な「リスク」の問題へと矮小化されてきた。だが、そうした事態に繰り返し直面する今日にあって、私たちは破局を直視し、それを思考するすべを手に入れなければならない―。「賢明な破局論」を手掛かりに、私たちの認識のありようを鋭く問い、その根源的な転換を迫る警世の書。
第1部 リスクと運命(特異な視点
迂回、逆生産性、倫理
運命、リスク、責任
技術の自律
係争中の破局論)
第2部 経済的合理性の限界(予防―リスクと不確実性との間で
無知のヴェールと道徳的運
知ることと信じることは同じではない)
第3部 道徳哲学の困難、欠くことのできない形而上学(未来の記憶
未来を変えるために未来を予言する(ヨナに対するヨナス)
投企の時間と歴史の時間
破局論の合理性)
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