重力と力学的世界 下 ─古典としての古典力学
西欧近代において、古典力学はいかなる世界を発見し、いかなる世界像を作り出し、そして何を切り捨ててきたのか。歴史形象としての古典力学。
ニュートンの力学は、ダランベールやラグランジュ、ラプラスによって数学的に改鋳され洗練されることで今日言う「ニュートン力学」へと変貌を遂げた。また地球の運動をほぼ完全に解明し、太陽系の安定性を理論的に証明することによって万有引力論への懐疑を一掃した。それは同時にニュートン自然哲学の根底にあった神学原理を物理学から追放することでもあり、ここに力学的世界像は確立される。しかし力学的自然観は、場の理論の登場で19世紀にその限界を明らかにする。そのことは、光や電磁気現象の力学的解明を目指したケルヴィン卿の挫折に示される。著者一連の科学思想史の原点、記念碑的著作の待望の復刊。
第10章 地球の形状と運動
第11章 力学的世界像の勃興
第12章 ラグランジュの『解析力学』
第13章 太陽系の安定の力学的証明
第14章 力学的世界像の形成と頓挫
第15章 ケルヴィン卿の悲劇
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