キリスト教の幼年期
キリスト教史の最初の一世紀は、幾つもの転回点を持つ不安定な時代であった。この宗教が自らの独自性を発見した様子を歴史の中で鮮やかに描く。
キリスト教は、イエスやパウロによって現在の形が定められたわけではない。この宗教の最初の一世紀には、世界宗教となった後世から振り返った際に想像されがちな一枚岩で安定した教会組織も存在していなかった。さらに言えば、イエスの活動とその死の後でも多くの点でユダヤ教の枠内にとどまっていた。しかし、いくつかの決定的な転回があり、キリスト教は自分たちの独自性を発見していくこととなった。どのような出来事、どのような思索が、キリスト教を新しい自律した宗教へと歩ませることになったのか。厳密な資料読解を通して描く。
キリスト紀元初めの頃のユダヤ教
洗礼者ヨハネとナザレのイエス
エルサレムの初期教会
「ヘレニスト」の再活性化
パウロの最初の活動
前方への逃避
教会のリーダーとしてのパウロ
神学者および殉教者としてのパウロ
六〇年代の重大危機
キリスト教の反撃
パウロの後継者たちの目覚め
大人として成熟したキリスト教に向けて
強化とヘレニズム化
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