百姓の江戸時代
百姓たちは自らの土地を所有し、織物や酒を生産・販売していた――庶民の活力にみちた前期資本主義社会として、江戸時代を読み直す。解説 荒木田岳
江戸時代の日本について、鎖国によって孤立し停滞した封建制社会であったと受け止める傾向がある。また、農民や町人は、厳しい身分制度でがんじがらめの支配を受けていたと信じられがちである。しかし村々に残る資料をみて歩くと、この時代の百姓たちは自ら所有する土地を耕しながら布や酒をつくって店をひらき、さらには寄合の協議で村の運営を動かすこともあったことなどが分かってくる。江戸時代はむしろ、元気な百姓が主役の、近代的な前期資本主義社会だったのだ。支配者史観を覆し、庶民の視点から江戸時代の歴史を読みなおす。
序章 「日本近世史」のあやうさ
第1章 百姓を独立させた検地
第2章 身分社会の終焉
第3章 法と制度のからくり
第4章 新しい社会の秩序
第5章 百姓の元気
第6章 民意が公論となるとき
第7章 村に学んだ幕閣
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