荷風さんの昭和
戦争へ向かう歴史の大情況と
下町を徘徊する文豪の日常が
交差する
破滅へと向かう昭和前期。永井荷風は驚くべき適確さで世間の不穏な風を読み取っていた。時代風景の中に文豪の日常を描出した傑作。
【解説: 吉野俊彦 】
戦争へ、破滅へと向かう昭和前期の20年間。世間を見つめる永井荷風の視線はあくまでも低く、驚くべき適確さで世界の不穏の風を読み取る。『断腸亭日乗』を中心に、昭和という時代風景の中に文豪の日常を描き出した傑作。
一筋縄ではいかぬ人
この憐れむべき狂愚の世―昭和三年〜七年
女は慎むべし慎むべし
「非常時」の声のみ高く―昭和八年〜十年
ああ、なつかしの〓(ぼく)東の町
大日本帝国となった年―昭和十一年
浅草―群衆のなかの哀愁
軍歌と万歳と旗の波と―昭和十二年〜十四年
文学的な話題のなかから
「八紘一宇」の名のもとに―昭和十五年〜十六年
月すみだ川の秋暮れて
“すべて狂気”のなかの正気―昭和十六年〜二十年
どこまでもつづく「正午浅草」
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