法隆寺の謎を解く

武澤 秀一

世界最古の木造建築物として有名な法隆寺は、創建・再建の動機を始め多くの謎に包まれている。その構造から古代史を読みとく、空間の出来事による「日本」発見。

法隆寺の謎を解く
  • シリーズ:ちくま新書
  • 968円(税込)
  • Cコード:0252
  • 整理番号:601
  • 刊行日: 2006/06/05
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:新書判
  • ページ数:288
  • ISBN:978-4-480-06260-4
  • JANコード:9784480062604
武澤 秀一
武澤 秀一

タケザワ シュウイチ

1947年生まれ。建築家/博士(工学・東京大学)。1971年、東京大学工学部建築学科卒業。同大学院工学研究科修士課程(建築学専攻)を中退し、同大学助手。その後、設計事務所を主宰するとともに、東京大学、法政大学などで設計教育指導にあたった。神社仏閣などの建築空間をとおして日本人の心のありようを探究することがライフワーク。著書に『法隆寺の謎を解く』(ちくま新書)、『神社霊場ルーツをめぐる』(光文社新書)、『マンダラの謎を解く』(講談社現代新書)、『空海塔のコスモロジー』(春秋社)など。

この本の内容

法隆寺は世界最古の木造建築として“世界遺産”に指定されている。しかし実は、私たちが目にしている法隆寺は七世紀後半から八世紀初めにかけて「再建」されたものであり、そうしたことがわかったのは一九三九年になってからのことにすぎない。しかも聖徳太子による創建から「再建」達成までの百年間は、仏教の日本化と並行して、古代王朝の内部で激しい権力闘争が起こった時期でもあった。仏教やヒンズー教などのインドの宗教建築を踏査してきた著者が、回廊の構造や伽藍の配置などから古代世界を読み解く、空間的な出来事による「日本」発見。

この本の目次

序章 法隆寺の謎(謎解きのまえに
解き明かされる謎の数々)
第1章 法隆寺をめぐる(門前にて
中門の中で
そして塔と金堂
塔の中で
金堂の中で)
第2章 めぐる作法/めぐる空間(めぐる作法の伝来
五重塔と柱信仰
列柱回廊をめぐる
夢殿へ
祈りのカタチ)
第3章 法隆寺は突然変異か(門の真ん中に立つ柱
なぜ法隆寺だけなのか
法隆寺以前の伽藍配置
法隆寺ファミリーの誕生
謎の柱はビテイコツだった)
終章 日本文化の原点に向かって(タテとヨコ、南北と東西
血統と流儀、そして新創建を進めたのは誰か
空白の誕生、そして大陸起源か日本起源か)

読者の感想

2011.4.30 ばいきんまん

学生時代に梅原猛氏の「法隆寺の謎」をわくわくしながら読んだことを思い出し、本書を手に取ってみた。興味・関心はは、最初、梅原説対しての批判、評価であったが、それを突き抜け建築家としての視点、そして、筆者の博学と研究に対する粘り強さに感嘆させられた。他著作の「伊勢神宮の謎を解く」も自分の読書計画に入れたい。

2007.2.20 鳩の声

この本の素晴らしいところは、これまで類書に見られたような、単なる思い付きに博引傍証を重ねるのではなく、インド各地を歩いた著者の経験が無理なく法隆寺の謎解きに繋がっていることだと思います。
話のすすめ方、根拠の立て方も誠実で、あぁ、そうだったのかと頷かざるを得ないような説得力がありました。

これまで、なぜ、仏教のふるさと、インドそして経由地であるアジア各地から日本の仏教寺院を見ることを怠ってきたのか、戦後の日本社会には無意識のうちにも目に見えない作用がはたらいていたのかもしれません。広くアジアにおける日本を見ることによって、まだまだ眠っている色々なことが分かってくるのではないでしょうか。そうしてはじめて、日本の特質も浮かび上がってくるはずですが、この本はそのことに目を見開かせてくれました。
認識のあり方における大きな盲点が浮き彫りにされ、多くのことに気づかせてくれた本でもありました。感謝します。

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