武士の起源を解きあかす ─混血する古代、創発される中世
武士はどこでどうやって誕生したのか。日本を長期間統治した彼らのはじまりは「諸説ある」として不明とされていた。古代と中世をまたぎ、日本史最大の謎に挑む。
武士はいつ、どこで、生まれたのか?七世紀ものあいだ日本を統治してきた彼らのはじまりについては、実ははっきりとした答えが出ていない。かつて教科書で教えられた「地方の富裕な農民が成長し、土地を自衛するために一族で武装し、武士となった」という説はでたらめで、都の武官から生まれたという説は確証がなく、学界は「諸説ある」とお茶を濁す。この日本史における長年の疑問を解消するために、古代と中世をまたにかけ、血統・都鄙・思想に着目し、武士の誕生の秘密を明らかにする。
序章 武士の素性がわからない
第1章 武士成立論の手詰まり
第2章 武士と古代日本の弓馬の使い手
第3章 墾田永年私財法と地方の収奪競争
第4章 王臣家の爆発的増加と収奪競争の加速
第5章 群盗問題と天皇権威の転落
第6章 国司と郡司の下剋上
第7章 極大点を迎える地方社会の無政府状態―宇多・醍醐朝
第8章 王臣子孫を武士化する古代地方豪族―婚姻関係の底力と桎梏
第9章 王臣子孫を武士化する武人輩出氏族―「将種」への品種改良
第10章 武士は統合する権力、仲裁する権力
第11章 武士の誕生と滝口武士―群盗問題が促した「武士」概念の創出
終章 武士はどこから生まれてきたか―父としての京、母としての地方
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