あそぶ神仏 ─江戸の宗教美術とアニミズム
若冲、白隠、円空、北斎…異形、奔放、かわいい!
白隠の禅画、空海の仏像から北斎の浮世絵まで。『奇想の系譜』など、日本美術史の傍流に光をあててきた大家が知られざる近世仏教美術の魅力に迫る。
いつの世も庶民はひたすらこの世の幸を追い求めるもの。その奔放な想像力にかかれば神様仏様といえどもこの通り、親しみ深く荒削り、すこぶるかわいらしく、ときには世にも怖ろしい姿となる。アニミズム的感性に裏打ちされた力強く鮮烈な表現は、正統的な宗教美術とは一線を画す、異次元の美の宇宙を形づくっている。妖怪となった器物=付喪神の饗宴、白隠や仙〓(がい)の不羈奔放な禅画、大らかな性器崇拝と春画との関わり、そして北斎の劇画の如き仏画と異形の滝…。「奇想」の発見で日本美術史を塗り替えた眼の革命家が、宗教美術のもう一つの水脈に分け入り、その核心に迫る。
1 日本美術に流れるアニミズム
2 変容する神仏たち―近世宗教美術の世界
謎多い遊行僧円空にひかれて
木喰と東北・上越
野に生きた僧―風外慧薫の生涯と作品
近世禅僧の絵画―白隠・仙〓(がい)
白隠“半身達磨像”(永明寺本)
3 浮世絵春画と性器崇拝
北斎の信仰と絵
北斎晩年の“ふしぎな世界”
4 天龍道人源道の仏画
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