柳宗悦 美の菩薩
時に資金繰りに苦しみながらも生涯を通して美しいものの蒐集に心血を注いだ柳宗悦。それほどまでに柳を駆り立てたものは何だったのか。解説 鈴木照雄
なぜ美しいものを作ろうとも思っていない名もなき工人が、時として驚くべき美を生み出すのか。その理由を解き明かそうとした柳は、『無量寿経』にある「すべてが美しい世界をつくる」という阿弥陀仏の誓いに出会い、はたと気づく。ものの美しさは、この宗教的救済によってもたらされていたのだと。そして、美しいもの=救われたものを日本民藝館に陳列し、人もものも、すべてが救われる「浄土」が現に存在することを、人々に伝えようとした。阿弥陀仏の本願と美を結びつけ、仏教の再構築を構想した柳宗悦。この稀有な思想家の核心に迫った著者初期の代表作を、増補して文庫化。
第1章 形から心へ
第2章 永遠の今を求めて
第3章 美への展開
第4章 美の宗教
第5章 “世俗化”のなかで
補章 「美の菩薩」をめぐって
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