フランク・H・ナイト
( ふらんく・ないと )大戦間期の理論経済学者。自由主義市場経済体制を擁護し、ケインズ主義的経済介入に異議を唱える「シカゴ学派」の始祖として知られる。M・フリードマンやR・コースらに影響を与えた、20世紀を代表する経済思想家。
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4,950
円978-4-480-86733-9
0033
2021/07/29
四六判
512
頁ナイトの主著Risk, Uncertainty and Profit ( 1921 )の全訳。本書はナイトがコーネル大学院で書き上げた博士論文「企業利潤の理論」(1916)を下敷きとした理論書である。その主旨は、それまで価格理論に潜在していた「完全知識」の前提を抉り出し、保険の原理や大数の法則を用いて統計的・確率論的に対処し得る蓋然性としての「リスク」と、そうした対処法をいかに駆使しようとも回避しえない蓋然性としての「不確実性」を峻別したうえで、理論上は捨象されてしまう後者こそが「利潤」の源泉であることを示すことにある。ナイトの思考の特徴は複眼性にある。一つの論点を掘り下げていく際にも、つねにその背後にある複数の問題を意識し、それらとの調和や矛盾について言及する。こうした多面性や重層性をもつため、その著作を翻訳するのは困難を極める。本書の翻訳はすでに1959年になされているが(奥隅栄喜訳、『危険・不確実性・利潤』文雅堂銀行研究社)、ナイトの思索のスタイルに翻弄されているため、現代では参照に値しないと見なされている。いまなお未読に値する20世紀の古典を新訳で出版する。
第1部 序言(経済理論における利潤と不確実性の位置
利潤の理論―利潤との関係における変化とリスク)
第2部 完全競争(選択と交換の理論
共同生産と資本化
不確実性が存在しない場合の変化と進歩 ほか)
第3部 リスクと不確実性に因る不完全競争(リスクと不確実性の意味
不確実性に対処する構造と方法
企業と利潤 ほか)
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