星新一の思想 ─予見・冷笑・賢慮のひと
千篇を超える膨大な数のショートショートからエッセイまで全作品を読み抜き、本人ですら自覚し得なかった「思想」を浮かび上がらせた本邦初の本格的作品論!
星新一とは何か。シニカルにきらめく千余のショートショート。高度に知的なエッセイの数々。戦後日本をはるか遠方から問い直し、近代の人間観を解体しつくしたSF小説群。圧倒的な知名度にもかかわらず、あんなものは小説ではないとされ、批評の対象とされてこなかった。日本最初のSF作家にして懐疑的思索者たる星新一の全仕事を読み抜き、ポストコロナを生きるための哲学を浮かび上がらせた、壮大なる企て。
プロローグ―「流行の病気」『声の網』「おーいでてこーい」ほか
第1章 これはディストピアではない―「生活維持省」「白い服の男」「コビト」ほか
第2章 “秘密”でときめく人生―「眼鏡について」「雄大な計画」「おみそれ社会」ほか
第3章 アスペルガーにはアバターを―「地球から来た男」「肩の上の秘書」「火星航路」ほか
第4章 退嬰ユートピアと幸せな終末―「妖精配給会社」「最後の地球人」「古風な愛」ほか
第5章 「小説ではない」といわれる理由―「霧の星で」『人民は弱し 官吏は強し』「城のなかの人」ほか
第6章 SFから民話、そして神話へ―「マイ国家」「門のある家」「風の神話」ほか
第7章 商人としての小説家―「SFの短編の書き方」「とんでもないやつ」「第一回奇想天外SF新人賞選好座談会」ほか
第8章 寓話の哲学をもう一度―「老荘の思想」「SFと寓話」「いわんとすること」ほか
エピローグ―「錬金術師とSF作家」「小松左京論」「科学の僻地にて」ほか
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