キェルケゴール ─生の苦悩に向き合う哲学
生きることに苦しみ、孤独と憂愁の淵で深くへりくだる懺悔者キェルケゴール。直向きな信仰と思索のあいだに立ち上がった〈実存哲学〉という企ての全体像に迫る。
キリスト教国家デンマークに生まれ、いまなお哲学史にその名を刻むセーレン・キェルケゴール。母や兄弟との死別、厳格な父との葛藤、放蕩、婚約者との破局―。不憫な日々を過ごした青年は、孤独と憂愁の淵で深くへりくだる。その愚直な信仰と思索のあいだに立ち上がった“実存哲学”とはいかなる企てだったのか。『死に至る病』『不安の概念』などの代表作のみならず、残された膨大な日記や手紙を読み解き、“神に仕えるスパイ”という使命を生きた人間キェルケゴールの実像にせまる。
序章 神に仕えるスパイ
第1章 原点
第2章 著作家として立つ
第3章 美的著作という餌をまく
第4章 美的著作
第5章 宗教的著作と『非学問的後書き』
第6章 逡巡
第7章 汝自身を知れ
第8章 牙を研ぐ
第9章 教会闘争
終章 死とその後
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