改訂増補 バテレン追放令 ─16世紀の日欧対決
西欧のキリスト教宣教師たちは、日本史上にいかなる反作用を生み出したか。教会領長崎での事件と秀吉による「バテレン追放令」から明らかにする。
天正十五年(1587)、豊臣秀吉は九州平定のため、大軍を率いて出陣。博多に凱旋し、戦勝祝いのさなか、「バテレン追放令」五カ条を発布した。日本でのキリスト教宣教に関する禁令である。キリシタン大名・高山右近を家臣団から排除したことと併せ、イエズス会士たちに強い衝撃を与えた。諸宗派間の平和共存を構想していた秀吉が転回をなすに至った背景には何があったのか。それは日本史上にいかなる反作用をもたらしたか―。イエズス会が支配する教会領長崎で起きた事件と、「バテレン追放令」を記す二つの文書の検証から、日本とヨーロッパの象徴的衝突に迫る。サントリー学芸賞受賞作の改訂増補版。
プロローグ キリスト教と戦国日本の出会い
1 神の平和(教会領長崎における「神の平和」)
2 バテレン追放令(「バテレン追放令」とその影響
バテレン追放令とキリシタン一揆
秀吉と右近―天正十五年六月十八日付「覚」の分析から)
補論(長崎開港と神功皇后との奇しき縁
「岬の先端」の歴史と「精霊流し」)
エピローグ
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