公共哲学からの応答 ─3.11の衝撃の後で
ロールズもサンデルも
論じなかった問題がある!
3・11の出来事は、善き公正な社会を追求する公共哲学という学問にも様々な問いを突きつけることとなった。その問題群に応えながら、今後の議論への途を開く。
二〇一一年三月一一日に東日本を襲った大地震と大津波、それにともなう福島の原発事故は、実際上の問題だけでなく、公共哲学という“善き公正な社会を追求し、現下の公共的問題を考える”学問にも様々な問いを投げかけることとなった。それらに今どのように応えるのがふさわしいのか。日本における第一人者が、議論の手がかりとなる有力な学説を紹介しながら、3・11以降の社会を考えるための羅針盤を提示する。
序章 3・11の衝撃と公共哲学(公共哲学とポスト3・11―その意味するもの
3・11が突きつけた諸問題と諸課題)
第1章 公共哲学の「人間‐社会」観と倫理観(「滅私奉公・滅公奉私」対「活私開公・滅私開公・滅私開公=新しい公共」
「活私開公」の政治思想
「滅私開公」の政治思想
新しい倫理的なヴィジョン
「居場所」/「出番」とグローカル公共哲学)
第2章 メディアと宗教の公共的役割(メディアをめぐる二〇世紀の古典的論争―リップマン対デューイ
公共世界を活かすメディアへの途
欧米の論客たちの「宗教と公共」論
日本の知的端緒の再発見
宗教間対話と協働の公共哲学のために)
第3章 新しい「公共的な諸学」の構想(「自然‐技術」観、歴史観、そして、学問論の問い直しへ
ポスト専門化時代の学問理念―現状分析・ヴィジョン・政策論
責任倫理、リスク社会、人間の安全保障と人間の発展
科学技術の将来とガヴァナンス―熟議民主主義に向けて
経世済民の学のために―意識改革と公共的価値論)
第4章 これからの正義と人権の話をしよう―サンデル・ブームを超えて(ロールズ以降、何が争点とされ、何が争点とされていないのか
正義の危うさにどう対処するか
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