新版 プラトン 理想国の現在
近代日本に「理想」という言葉を生み、未来をひらく力を与えたプラトン哲学。主著『ポリテイア』の核心を捉え、哲学の可能性を示す。解説 熊野純彦
「理想」という語は、明治の時代、プラトンの「イデア」の訳語として造られ、定着した。そしてプラトンの最高傑作『ポリテイア』(『国家』)が『理想国』の標題で出版され、近代国家建設をめざす多くの日本人の希望の拠りどころとなる。だが、新たな理想社会を創らんとするその熱情は、やがて全体主義に利用される運命を辿った―。かくも激しく人々の魂を突き動かしたプラトンの理想主義哲学とは、果たしていかなるものか。『ポリテイア』の核心を読み解くことで、哲学という営みが切りひらく最良の地平を描き出す。初学者への案内として「プラトン『ポリテイア』を読むために」を付した決定版。
序 「理想」を追う哲学―あるいは、現代のドン・キホーテ
第1部 現在の鏡としての『ポリテイア』(『ポリテイア』の正義論
理想国論批判の再考
「哲人王ホメイニー」)
第2部 『ポリテイア』を読んだ日本の過去(新しい日本語のプラトン
明治から大正へのプラトン
戦前から戦後へのプラトン
「理想国」への挑戦と挫折)
第3部 私たちが語る未来の「ポリテイア」(「ポリテイア」とは何か?
「天上に掲げられたポリス」
「理想」を書く/読むこと)
付録 プラトン『ポリテイア』を読むために
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