高橋久美子
( たかはし・くみこ )作家・詩人・作詞家。1982年愛媛県生まれ。 詩、小説、エッセイ、絵本の執筆の他、様々なアーティストへの歌詞提供や翻訳など創作活動を続ける。 主な著書にエッセイ集『いっぴき』(ちくま文庫)、『旅を栖とす』(角川書店)、詩画集『今夜凶暴だからわたし』(ミシマ社)等。翻訳絵本『おかあさんはね』(マイクロマガジン社)は第9回ようちえん絵本大賞を受賞。
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文筆活動10周年。詩、小説、作詞、絵本翻訳と〈言葉〉の世界で活躍する著書が人気連載他、これまで様々な媒体に書いた文章をまとめた集大成的エッセイ集
1章 私の原材料(おITの人
風邪とともに去りぬ
奥さん ほか)
2章 日々の生活(鍬と鉛筆とスティック
一生のお願い
そうだ、長崎に行こう ほか)
3章 創作のこと(ご褒美のように歌詞を書く
無人島で歌いましょ
肩書 ほか)
2022年8月10日発行の書籍『一生のお願い』(高橋久美子著)第1刷に誤りがありました。
下記の通り訂正し、お詫び申し上げます。
23頁の10行目:【誤】荒くて→【正】粗くて
138頁の5行目:【誤】二〇一二年→【正】二〇一一年
222頁の17行目:【誤】肯定→【正】工程
232頁の16行目:【誤】二〇一一年十月十一日→【正】二〇一一年十月一日
238頁12行目:【誤】春は奇跡だ 2011年10月1日+書き下ろし→【正】春は奇跡だ 「んふふのふ」2015年4月16日+書き下ろし
238頁14行目:【誤】そうだ日記を書こう 2011年10月1日+書き下ろし→【正】そうだ日記を書こう 「んふふのふ」2011年10月1日+書き下ろし

いくら上手くショットが決まっても、たまたま埋まっていた石に刃先が命中してしまったときや、日照続きの硬い土は、素手でコンクリートを殴ったような反動がビリビリビリと返ってくる。まさにロックだ。だから、なるべく雨降り後の柔らかい土に種や苗を植えるようにしたら、発芽にも人の体にも良いなと今日も一つ賢くなる。「農業は、根を詰めてするもんじゃないんよ。今日が駄目なら明日やればいいんじゃから焦らんとちょっとずつしなよ」お世話になっているおじさんがそう言った。それは人の人生そのものじゃないかと思った。(「鍬と鉛筆とスティック」より)
結婚指輪だって必要ないと思っていた。仏教徒だし、これみよがしに左手の薬指に輪っかを入れるのはなんだかこっ恥ずかしい。自由を愛する二人としては、何よりも束縛感が気になった。とまあ二人ともそんなノリで、柄じゃないからいらないよねーと一時はなしでいくことに決まったのだ。それがどうして指輪を買うことになったのか……。(「やっぱ指輪買おうかな」より)
昔の友だちは、ずっと愛用しているパジャマや枕カバーのようだと思う。元気なときは、そこにいてくれていることに気づいてなかったりする。けれど、弱ったとき一番に着替えて涙を吸い込ませられるのは彼女らだ。友達は何でも許してくれるし、私も許す。宝物箱に入れておいて、ときどき思い出す存在。仕事仲間と会う時は、三番目くらいにいい服を着てくけど、友達に会うときはパジャマのままで行ける。(「三番目にいい服とパジャマ」より)
作詞家、絵本翻訳、エッセイストなど多岐にわたるジャンルで活躍する著者の、想像力あふれる日常を詰め込んだエッセイ。

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