カラダに希望が湧いてくる/橋本一子
この本のページをめくるとまず目次の次にまえがきがある。それから「この本の使い方」がある。そして「体調別自分で整体チャート」。ここにきて、はたと目が釘付け。
なぜなら、ここには細かく症状別対処法の項目があり、いきなりたくさんの症状に自分があてはまっちゃったから。
「こめかみが痛くなる」(頭がよく痛くなる、の項)、「肩の上が張る」(肩がよく張る、の項)、「途中で目が覚めやすい」(不眠、の項)、「朝起きたときが一番疲れている」(疲れ、の項)etc. etc…. もう、この原稿を書くということを忘れ、思わずそこに書いてあるページに飛んでしまった。
私は十五年くらい前に片山洋次郎氏の整体に出会い、その常識破りの理論にハマり、氏を質問攻めにしたり、かなり真面目に実践し、自分なりにも研究し続けてきた。だから初めて読む(出会った)読者に比べれば自己整体法を身につけているかもしれない。
でも、だからといっていつでも調子がいいわけではなく、ハードなスケジュールの中で、疲れが溜まってきたり、無理して気合いを入れ続けているうちに柔軟さが失われ、始終どこかが痛かったり睡眠障害が出たりする。そういう時って気づかないうちにバランスを見失ってしまうのだ。
で、早速書かれているページに飛んでみた。
図解入りでやさしく説明されている。同じ整体法が別の症状にもあてはまり、便利だ!
そう、この本は、片山洋次郎氏が提唱されている「力を抜くことでバランスを取る整体」を実践するためのメソッドを手取り足取り的にやさしく丁寧に書いた実践本だったのだ。
とはいえ、いくつか試してリラックスした後ゆっくり読んでみると、ただの実践本ではないことがわかる。これまでの氏の著書にはなかった直観で書かれた詩のような短文が収録されている。これを読むと、あらためて氏の「カラダ」への想いを感じる。それは誰かに対してやさしい人柄である、ということではなく、「生」そのものへのやさしさだ。
こんな一文がある。がっくりして首をうなだれたときの一節。
「どうせなら思い切りうなだれてみる
思い切りうなだれていると
そのうちだんだんに
うなだれていることに
疲れてくるのです
知らないうちに首は
自分で首をもたげ始め
勝手に前を向くのです」
そうか! ひとのカラダってうなだれていることに疲れるんだ! 発見! でしょ。
こんな小さな発見がたくさんある。
ご自身も超過敏な体質で、社会の中での生きにくさ、苦しさを実感されている氏ならではの直観的な言葉は、美しくて切なくてオモシロくて深い。
そう、この本の特徴は、「どんなにネガティブな状態の時があっても、カラダは必ずエネルギーを取り戻す」ということを、自分でできる整体法とやさしい言葉で綴ってあること。
常にいい気分でいい体調、なんてことはありえない。でもありえなくていいのだってことがわかる。
沈んだ時でも次に浮き上がるための助走、休養にしてしまうことができる。絶望していても空っぽだったカラダの奥に新しいエネルギーを湧かせることができる。簡単でやさしいメソッドをやってみることで、気づいたら新しい希望が湧いている。
そんな体験ができるのだ。この本を手に取って、ぱらぱらとページをめくってみてほしい。絶対にやってみたくなるから。
(はしもと・いちこ 音楽家)
『自分にやさしくする整体』
片山洋次郎著
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