松田哲夫の王様のブランチ出版情報ニュース

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.12.20)

2008年12月21日

『森に眠る魚』と「X'masに贈りたい絵本さがし」


<一般書ランキング> (リブロ池袋本店調べ・12/8~12/14)
① マーシー・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
② 奥野宣之『読書は1冊のノートにまとめなさい』(ナナ・コーポレートコミュニケーション)
③ 勝間和代『起きていることはすべて正しい』(ダイヤモンド社)
④ 伊藤理佐『おんな窓 2』(文藝春秋)
⑤ 美香『モデル・美香の女磨きダイアリー』(角川春樹事務所)
⑥ 『このミステリーがすごい!』(宝島社)
⑦ 沢木耕太郎『旅する力』(新潮社)
⑧ 水野敬也『大金星』(小学館)
⑨ 『ミシュランガイド東京2009日本語版』(日本ミシュランタイヤ)
⑩ 天童荒太『悼む人』(文藝春秋)


<BOOKニュース>
◎内澤旬子『おやじがき』(にんげん出版)



こぎれいで健康な、ちょいワルおやじが急増する現代。耳毛上等、臭気充満、世間の目なんて気にしない、そんなおやじは現在絶滅を危惧されています。そんな、絶滅に瀕したおやじの生態に迫った一冊。


<絵本特集・X'masに贈りたい絵本さがし>
◎俵万智『かーかん、はあい』(朝日新聞出版)



クリスマスはプレゼント用に絵本を買う大学生・社会人も増えるシーズン。新聞連載の絵本コラムをまとめた本『かーかん、はあい』を出版した俵万智さんが絵本選びをアドバイスしてくれました。俵さんといえば短歌で有名ですが、現在5歳の息子さんの育児をきっかけに、絵本もかなりくわしくなったとか。「一文が短くて声に出して読んで楽しむという点では、短歌も絵本も同じなんです」と語る彼女。大量の絵本に触れる中で“大人の絵本の楽しみ方”を幾つも発見したという俵さんが都内最大級の在庫を誇るクレヨンハウスで、クリスマスプレゼント用の絵本を選んでくれました。最後に、俵さんからブランチへ素敵なクリスマスプレゼントが! 「クリスマス」と「絵本」を題材に、短歌を一首頂きました。
松田 『かーかん、はあい』っていうのは、とっても素敵な本で、愛らしい本なんですね。お母さんと子どもが絵本を一緒に読みながら語り合うという、本当に微笑ましい姿なんですね。それと、子どもがいろんなことを発見するんですよね。その時の輝きと俵さんの感動みたいなものが、ものすごくストレートに伝わってきます。そして、最後の章でお子さんが、ちょっと一言言うんですけども、それがウルッと来るんですね。最後まで読んでもらえればわかります。とっても素敵な一冊です。是非読んでみてください。


<今週の松田チョイス>
◎角田光代『森に眠る魚』(双葉社)



松田 血も流れませんし、化け物も出てこないんですけども、本当に怖い話です。角田光代さんの『森に眠る魚』です。
N 角田光代の最新作『森に眠る魚』。「お受験」が盛んな、とある町で知り合った5人の母親たちは、互いに心を許しあう「ママ友」。しかし、育児に悩み、「お受験」に翻弄されるうち、5人の関係性はしだいに変容していく。「あの子さえいなければ」。「私さえいなければ」。母親たちの深い孤独と痛み、そして日常生活に潜む恐怖をあぶりだした力作。>
松田 ここに出てくる「ママ友」たちは、本当に親しくなった瞬間、今度は、お互いに頼る気持ちが大きくなっていくので、ちょっとした行き違いから、ねたみや疑いが生まれてきます。ただ、作者は、そういう一人一人に優しく寄り添って、理解してあげようとしているんですね。だから、逆に苦しみみたいなものがつらく伝わってくる。本当に、何とも言えない怖い世界なんですけどもね。
谷原 なるほど。優香ちゃん、読んでみたんですよね。
優香 ものすご~い怖いです。
はしの いま、感想を言う前に顔がすごくなりました。
優香 もう、もう、ものすごく恐ろしいんです。よく、男の人の妄想って、なんかロマンチックだったり、可愛かったりするじゃないですか。女の人って、なんか現実的な妄想っていうか……。女の人の、仲のいいグループがあって、その中で二人が喋っていたりすると、「アレッ、もしかして自分のこと悪く言われてるんじゃないか」とか、そういうことを気にすることが多いじゃないですか、女性の方が。そういう関係性のことなので、人間的な怖さ、そういうものなんです。
松田 そこに、いつも子どもが関わってくるんで、「ママ友」の大変なのは、そういうところで……。そして、彼女たちの辛さが臨界点に達したときに、とんでもないことが起きるんですよ。これは、ちょっと、読んでみないとわからないんですが。
優香 はあい。
松田 ただ、その後に、また日常に帰って行く、それを、ささやかな希望があると読むのか、深い絶望と読むのか、いろんな読み方ができると思うんですけどもね。
谷原 ぼくも読んで、女性の心理を学んでみたいと思います。
優香 はあい。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.12.6)

2008年12月07日

『とんび』と「辻仁成『右岸』&江國香織『左岸』」


<特集・辻仁成『右岸』&江國香織『左岸』>
◎辻仁成『右岸』(集英社)



◎江國香織『左岸』(集英社)



大ベストセラーとなった辻仁成さんと江國香織さんの共作ラブストーリー『冷静と情熱のあいだBlu』『冷静と情熱のあいだRosso』(1999年、角川書店)が刊行されておよそ10年。再びお二人のコラボレーションが実現。
*『右岸』愚直だが真摯に生きる超能力者九は、初恋の人茉莉への叶わぬ想いを抱きながら、旅を続ける。
*『左岸』17歳で東京に駆け落ちし、2年後に別の男性と帰郷。恋も仕事も感性のままに生きる茉莉の物語。
幼馴染の九と茉莉は19歳の時に1度は両思いとなるが、結局うまくいかず……しかしその後も九と茉莉の魂の交歓は続く。1本の川を挟んだ右岸と左岸を歩む2人がお互いの人生を見守り続ける“ライフストーリー”。
*辻さん→江國さん「もっとマメにメール下さい」「パリに来ても僕に連絡くれない。レストランくらい連れていくのに!」「3度目のコラボあると思う!」
*江國さん→辻さん「10年前とくらべフランスで奥さんと子どもさんと住んでいて、帰る場所がある感じ。優しくなった」「時々メールするくらいの距離感が良い」「3度目のコラボは……どうなるかわからない(笑)」
谷原 いかがですか、松田さん、この作品は。
松田 大ヒットした『冷静と情熱のあいだ』の次ということで、たぶんプレッシャーも大きかったと思うんです。前は恋愛が軸になっている話だったんですけども、今度はもっとスケールが大きくて、人生そのものを描いていく作品なんですね。大変なチャレンジをしているんですが、見事に読み応えのある作品になっているなあって思います。二人がすれ違っていくんで、終始ハラハラするんですが、最後には意外なハッピーエンドが待っているという楽しみもあります。


<今週の松田チョイス>
◎重松清『とんび』(角川書店)



松田 絶妙な重松節が心に染みわたってきます。重松清さんの長編小説『とんび』です。
N 重松清、待望の新作長編小説『とんび』。昭和37年、トラック運転手のヤスさんに、待望の息子アキラが誕生。幼い頃、親と離別したヤスさんにとって、妻と息子と過ごす日々は、ようやく手に入れた家族の温もりだった。しかし、その幸福は突然の悲劇によって打ち砕かれてしまう。我が子の幸せだけを考え、悪戦苦闘するヤスさんの、喜びと悲しみを描いた感動長編。>
谷原 松田さん、これは重松さん得意の親子ものですから、すごく期待するんですが。
松田 そうですね。ひたすら一人息子の成長を見守り続けるヤスさんという父親の姿が素敵なんですね。そして、その一人息子をヤスさんが愛していますし、その二人を周りの人たちが愛しているし、登場人物全体を重松さんが愛しているという、本当に幸せな物語なんですね。だから、いろんなところで心打たれて、涙が出てきてしょうがないっていう、そういう作品なんですね。
優香 わたしも重松さん、大好きなんですけども、えみちゃんも読んだんですよね。
はしの 読みました。やられてしまいました。この一冊の中で、四、五回はダアーッて泣いて、二十回ぐらい鼻にツンときて、大変でした。でも、親って自分のこと、こういう風に見てたのかなあって思って読めますし、自分が親になったときに、ああ、子どものことをこういう風に思うのかなあって思いながら読んだり、すごい温かい本で、一気に読みましたね。
松田 本当に不器用で照れ屋のお父さんなんですよね。だから、言葉が足りなかったり、一生懸命に傷つけないようにしていることが裏腹になっちゃったりとか、その辺が、読者にはつらいんですよね。
はしの すごい土臭くて、そこがまたいいというか。
松田 そうですね。もう一つは「昭和の物語」なんですね。息子のアキラというのが重松さんと同じぐらいなんで、重松さんが育ってきた時代をしみじみと描いているという感じで、いいお話ですね。
谷原 優香ちゃんも、重松さん好きだもんね。
優香 大好きです。親子もの、大好きなんです。涙したいです。
はしの ほとんどの方が泣かされちゃうと思います。
谷原 ぼくも、お父さんの言葉には感動しました。

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