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持続可能な復興支援として、出版社・書店・取次会社で復興支援共通ブックジャケットをシェアできないだろうか——。

小社から毎月発行する、書店さま向け新刊案内「新刊どすこい」5月号より、連載「営業局通信」(小社 取締役営業局長・小島秀人)のひとつの提案を、同号発行に先じて、以下に転載します。


ブックジャケットを作れないか 小島秀人
 
 子どもたちに今年の桜をちゃんと見せておきたいと思い、先週末花見へ出かけた。自粛というよりも自制しているような宴会の様子は、微妙で不思議な空気だった。できることをする、元気に動ける人は動く、だけど羽目は外さない。そんな生煮え状態の酔っ払いたちを眺めることも、子どもにはいい経験になっただろう。
 イベントやスポーツ大会、そして様々な会合など、四月に入っても中止あるいは延期が続いている。「こんな時に」という声も、「安全が担保されない限りは」という理屈も、被災地の現状とこれだけ続く余震のことを考えたら理解できる。原発事故とそれに起因する電力不足が、自粛に拍車をかけている。いろんな物の値段が上がっている。このまま貧乏をしたっていい。敗戦のどん底からこの国を再建したのは、われわれの親やその親世代だったはずだ、というのもわかる。
 一方で、こうも思う。2004年の中越地震で実家の母が被災した。家が壊れ、ライフラインも途絶えて、救援物資だけを頼りに避難所で生活していた母の姿を、忘れることができない。東京に戻ってからも、しばらくは仕事が手につかなかった。被災していない自分たちが支えなくてどうする、と強く思うまで時間がかかった。宴会やイベントを再開することが支援につながるのか自分にはわからないけれど、震災前から不況と戦っていた日本経済がこのまま萎んでしまったら、本当にこの国は貧してしまうという危惧も理解できる。経済活動を止めてしまっては、支援の拠りどころを無くしてしまう。だから、企業は社会的責任において、ぼくらは国民の一人として、そして業界は本の力を信じて、できることを真摯に探すときだ。
 そこで、ひとつ提案したい。書店共通のブックジャケット(ブックカバーは英語では表紙のことを指すから)を作れないか。趣旨に賛同してもらえそうな何方かにデザインしてもらい、版元と書店が製作コストを負担する。そのコストを、まま復興支援の基金にする。取次会社には各書店への配送をお願いする。この仕組みをシンプルに読者へ開示する。本を読めば読むほど、店頭でジャケットを付けてもらえばもらうほど、その行為が支援につながる。一枚につき1円にすらならないかもしれないが、年間出回り部数や新刊冊数から推計すれば、まとまった金額になる気がする。多くの参加社でシェアできたら、重荷にならない。もともと書店さんは自社で作っているわけだし。これを1年とか2年、できたら5年10年単位で続けていけたらと思うのだが。
第27回太宰治賞の最終候補作品を決定いたしました。
最終候補作品はこちらをご覧ください。
全四回のセミナーでは、今年没後80年を迎える渋沢栄一の「論語とそろばん」の思想について理解を深めるとともに、21世紀の日本社会のあるべき姿と企業経営について、参加者とともに考えます。
現代語訳 論語と算盤』(詳細はコチラ)の訳者・守屋淳さんが講師(第一回)、司会・コメンテーター(第二回)を務めます。
(主催 公益財団法人渋沢栄一記念財団 協賛 みずほ総合研究所株式会社)
 
日時:2011年5月14日(土)、5月26日(木)、6月16日(木)、7月7日(木) 全4回
会場:第1回 渋沢史料館、第2〜4回 みずほ総合研究所セミナールーム
参加費:4回でお一人様2,000円(渋沢財団、みずほ総研会員は1,000円)

定員に達したため、お申し込みを締め切りました。 

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