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第434号2007年5月目次

表紙裏
[NARA NOTE +1]17|奈良美智

巻頭随筆
[人間、とりあえず主義]104・抗議外交|なだいなだ

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今月の立ち読みちくま

人間の気配  筑紫哲也

 茨木のり子の詩に「詩集と刺繍」というのがある。
 本屋に出かけて、詩集のコーナーはどこかを尋ねたら、刺繍の本のぎっしりつまった一角に案内される。二つの「ししゅう」の共通点は「天下に隠れもなき無用の長物/さりとて絶滅も不可能のしろもの」と思いながら、「せめてもニカッと笑って店を出る」—— という詩である。[全文を見る]

日本人と数学的センス  野崎昭弘

「数学的センス」とは、基本的には「言葉で、抽象的に考える」センスのことである。それは私たちがふだん活用しているセンスで、たとえば知り合いの人に最寄りの駅から自宅までの道順を教えるときには、途中の景色やお店の看板などのうち、特徴的なものだけを抜き出し、ほかはみな無視して、要点だけを説明するであろう。聞く方も、途中の店の名をすべて挙げてもらっても混乱するだけで、「交番の横を右に曲がって……」式の「要点だけの説明」のほうがわかりやすいものである。[全文を見る]

一筋の足あと  池内 紀

 全国に数ある大学や研究所のなかで、京都精華大学文字文明研究所はとびきりユニークな一つである。まず住所が風変わりだ。京都市左京区比叡山一本杉。たしかに比叡のお山の山頂ちかくにあって、以前は杉の古木が一本、ていていとそびえていたのではなかろうか。
 建物がまた変わっている。玄関を入るとガラス張りの広いフロアー。一方にのびた研究棟は崖上にあり見晴らしがいい。もう一方の建物は大広間をもち、小さな舞台をそなえ、左右の袖にはハデハデのビロードの幕。「京の夜景を一望に!」そんなキャッチフレーズで知られる山上のホテルとそっくりである。[全文を見る]

あしながのっぽのクワイン先生  冨田恭彦

 クワイン先生のことは、我が国では、哲学関係以外の人にはほとんど知られていないのではないでしょうか。でも、英語圏では、その名前が国語辞典に載っていたりします。ケンブリッジ大学の知り合いの英文学者も、クワインの「二つのドグマ」批判くらいなら、われわれだって知っていると言っていました。[全文を見る]

不思議な揚力  金原瑞人

 最近の歌人の活躍はすごい。なかでも東直子と穂村弘はいいなと思う。このふたりがいっしょに出した『回転ドアは、順番に』(全日出版)なんか、絶妙におもしろい。なにがおもしろいといって、タイプの思いきりちがうふたりが絡み合い、寄り添い、つつき合い、突き放し、また並んで立つ、その勢いとぶれがおもしろい。[全文を見る]

クリエイター事始  山本貴光+吉川浩満

「クリエイター」という言葉から、どんな仕事を思い浮かべるだろうか。よくわからないので「創作者」と日本語に直してみても、おぼつかないことに変わりはない。なにしろ「クリエイト」という言葉の意味が広すぎる。創作するといってもなにをこしらえるのか。場合によっては芸術家のような特別な職業だと受けとられるケースもあるようだ。[全文を見る]

見栄っぱりのイタリア人── 新訳ブルクハルト『イタリア・ルネサンスの文化』発刊に寄せて
新井靖一

 大分前のこと、さる百貨店の紳士服売場でひやかし半分にイタリア・ブランドのジャケットを見ていたとき、じつにすっきりしたデザインの、いかにも着心地のよさそうなジャケットがあった。しかしまことに品よく付けられていた前ポケットがあまりに華奢で、とても物が入れられそうになかったので、女店員にそのことを言うと、イタリアの方は形を重んじるので、ポケットには物を入れないのです、という答えが返ってきた。[全文を見る]

「明治維新」を踏みしだく  小島 毅

 はじめて新書を書いた。
 数百部を印刷し、完売すればスゴイといわれる専門書とはケタ違い(それも二桁違い)の読者を相手にすることになる。
 そこで執筆のスタイルも専門書とは変えてみた。事実のみを淡々と論述し、著者の主義主張はあまり表に出さないほうが奥ゆかしいとされる(?)専門書の書き方とあえて違え、最初から最後まで著者小島毅の主義主張てんこ盛りの「檄文」調である。[全文を見る]

新連載
[近代ヤクザの素姓]1|宮崎学

連載
[連作 少年]10・あのひと|谷川俊太郎
[東京物体]2・ウルトラマン像|大川渉
[小津ごのみ]24・おのずから広重|中野翠
[明日への回想]10・出会いの恵み|菅野昭正
[絶叫委員会]14・直球勝負|穂村弘
[オタク文化の現在]3・権威の接近と、オタクの逃走|森川嘉一郎
[思考の補助線]24・最終回・貧者の一灯|茂木健一郎
[古本屋は女に向いた職業|女性古書店主列伝]8 トンカ書店 頓花恵さん|岡崎武志
[往時茫々老人多難日暮日記]9・トリコと俊太郎|石堂淑朗
[ネにもつタイプ]63・応援|岸本佐知子
[おはよう、水晶——おやすみ、水晶]11・不死の国の書物|笙野頼子
[八幡の湯]5|山本一力
[真剣外伝]13・群青(第三回)|海道龍一朗

コラム
[偽雑記]1|間村俊一
読者のひろば
編集室から

表紙作品 奈良美智 I will ROCK YOU!/Broken Heart Bench yngm:k version 写真・細川葉子
表紙・本文デザイン・カット 吉田篤弘・吉田浩美

2008

2007

2006

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