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第432号2007年3月目次

表紙裏
[NARA NOTE +1]15・フタバ大使 2007|奈良美智

巻頭随筆
[人間、とりあえず主義]102・グーグルより急成長中の会社とは|なだいなだ

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今月の立ち読みちくま

追悼・阿部良雄 弔辞──阿部良雄先生を送る  松浦寿輝

 阿部良雄先生は、少壮気鋭の四十歳の東大助教授として、わたしたちの前に颯爽と現われました。ここでわたしたちというのは、一九七二年に駒場に入学した文科Ⅰ・Ⅱ類18D組の学生のことなのですが、たぶんわたしも含めて多くの者が単に必修科目だからというだけの理由で、何となく選んだ語学にすぎないフランス語のクラスで、最初の時間に颯爽と現われた阿部先生の、きらきら光る抜き身の刃のような鋭利な知性の存在感は、わたしたちをただちに魅了しました。[全文を見る]

存在することの習慣とは  青山 南

 ひとりの人間の人生の記録として読めるように書簡集を編むというやりかたはべつだん珍しいものではない。たいがい大部にはなるが、たとえば芸術家のものだと、芸術家の自己訓練の様子が細かくわかったりもするし、作品からはうかがわれない、いわゆる素顔が見えて、身近にかんじたりもする。[全文を見る]

『トリックスター群像——中国古典小説の世界』あれこれ  井波律子

 一九七〇年代、ポール・ラディンの『トリックスター』をはじめ、種々のトリックスター論や道化論が翻訳され、日本でも『道化的世界』を嚆矢とし、山口昌男氏のトリックスター関連の著作が続々と刊行された。民俗学の分野に属する作品が多かったが、いずれも刊行されるたびにとても面白く読んだ。[全文を見る]

母語へのこだわり  中山 元

 ぼくの少年時代は転校につぐ転校の時代だった。小学校だけで六つも通っているくらいである。転校してきた小学生にとって何よりも重要なのは、その土地の言葉に「同化」することだった。完全にその土地の言葉を話せるようになるのは無理だとしても、その土地の言葉を話そうとする意思をみせない場合には、厳しいいじめにあうことを身をもって学んだのだった。[全文を見る]

正しい本は、いい本か?  パオロ・マッツァリーノ

 去年のことですが、某社から書評の仕事を依頼されました。けっこうなギャラがもらえる、わりのいい仕事だったので引き受けたかったのですが、結局ことわってしまいました。
 ええ、ええ、もちろん、私のような三文物書きが仕事を選べるようなエラそうな立場にないことは、重々、承知しております。[全文を見る]

「物語」という名の友人  吉田篤弘

 よく晴れた寒い午後に、小川洋子さんの『物語の役割』(ちくまプリマー新書)が宅配便で届いた。ちょうど外出するところだったので、刷りたての表紙をしばらく眺め、それからコートのポケットに忍ばせて家を出た。暖冬に気をゆるませた者へ向けた不意打ちの一喝とも思える寒い日である。[全文を見る]

古さと新しさ  宮台真司

 私の大学時代と大学院時代は「廣松渉の時代」だった。七八年に初めて聴講したが、壁際にも演壇の前にも立ち見がぎっしり。どんな答案でもAがつくと評判だったから、成績目当てで聴講する必要はない。神話的イメージゆえに人が集っていた。[全文を見る]

「超わがまま」な女の「イノセンス」  関川夏央

 湯浅芳子は、おもに昭和戦前期に活躍したロシア文学者である。チェーホフの戯曲の翻訳が有名だったというが、いまは忘れられた。
 かつて志賀直哉の事跡を調べていたとき、私はその名に出会ったことがあった。[全文を見る]

『新寶島』誕生の謎  中野晴行

 手塚治虫の単行本デビュー作『新寶島』が出版されてから、今年はちょうど六〇年に当たる。戦後ストーリーマンガのパイオニア的作品とされ、その後に登場する数多くのマンガ家たちに影響を与え、今日に至る日本マンガ産業の礎を築いたとまで言われているマンガ作品が還暦を迎えるのだ。[全文を見る]

連載
[連作 少年]8・おばあさんが言うこと|谷川俊太郎
[思考の補助線]22・怒りについて|茂木健一郎
[小津ごのみ]22・なぜホームドラマなのか|中野翠
[明日への回想]8・チョコレートと教養|菅野昭正
[往時茫々老人多難日暮日記]7・小川徹のような男たち|石堂淑朗
[古本屋は女に向いた職業——女性古書店主列伝]6・石田書房 石田由美子さん|岡崎武志
[絶叫委員会]12・天使の叫び|穂村弘
[音楽が聞える]23・詩人の歌声|高橋英夫
[ネにもつタイプ]61・物言う物|岸本佐知子
[八幡の湯]3|山本一力
[真剣外伝]11・群青(第一回)|海道龍一朗

コラム
[飛田新地と私]2|井上理津子 読者のひろば 編集室から

表紙作品 奈良美智 (所蔵 永野雅子)
表紙・本文デザイン・カット 吉田篤弘・吉田浩美

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